【株式会社IHI様】UPCYCLEによって価格の妥当性判断と原価管理の精度を高め、強い調達組織の構築を目指す

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左から 調達統括プロジェクト管理部 主査 関様、同部 部長 小林様、同部 繁昌様

企業について

―― 御社の事業概要について教えて下さい。

小林様 

弊社は造船をはじめとしたインフラ、航空宇宙、産業機器を取り扱う総合重機メーカーです。

 

私たちが所属している車両過給機 SBU という事業部門は、自動車向けおよび産業機械向けをメインとしたターボチャージャーの開発・設計・生産を行っています。

 

弊社のターボチャージャーは、乗用車からトラック等の産業車向けまで、幅広い製品ラインナップがあり、売上規模は業界 3 位の位置づけです。

 

また、弊社は海外市場にも積極的に進出しており、各国の拠点を活かした事業展開を強みとしています。特に、自動車メーカーのエンジン生産拠点の近くに工場を構え、ターボチャージャーを生産・供給することで、迅速かつ柔軟な対応を実現しています。

 

お客様のニーズに合わせた設計や開発を行い、求められるスペックに柔軟に対応した製品開発を得意としています。

調達・購買部門について

―― 購買部門について教えて下さい。

小林様 調達部門の組織構成としては、横浜事業所内の調達統括プロジェクト管理部と、国内外の各工場に調達部門があります。

 

横浜の調達統括プロジェクト管理部はグローバル全体を横串で担当する集中購買業務やサプライヤチェーン戦略構築などを実施しています。

 

また、各工場の調達部門では、ターボの構成部品の発注業務やサプライヤーのソーシングなどを担当しています。

 

そして私たちの特徴として、調達エンジニアリングの組織がある点が挙げられます。

調達エンジニアリングは、新しいサプライヤーの開発や問題解決の提案、コスト削減の取り組みなど、サプライヤーと連携しながら先を見据えた活動も担っています。 

関様 私と繁昌は横浜の調達統括プロジェクト管理部に所属しており、主にタービンハウジング、ターボチャージャーを構成している鋳造部品、プロペラなど、価格構成比の高い部品の調達を担当しています。

原価分析の強化に向けて見積明細データの蓄積が課題だった

―― どのような課題やお悩みがあったのでしょうか?

小林様 私は2023年の4月に今の部門に来たのですが、それ以前は海外拠点での調達経験の方が長いです。海外拠点にいた際に横浜の本部で取り組んでもらいたいと考えていた事の1つとして、原価分析の強化がありました。

 

製品の価格整合性や情報の集約は横浜の本部が担っています。そのため、単価の変動管理、サプライヤーさんの見積書といった情報を一元管理する調達ポータルというシステムを作り、横浜センターで管理できるようにしたいと考えました。

 

その中で課題だったのは、見積を分析し、比較表を作成してコストBOM(部品表)に変換する作業が非常に手間がかかることでした。変動要因の為替レートや材料レートの調整、労務費などの変動要因をサプライヤー各社ならびに部品番号ごとに情報を収集して整理する作業に非常に時間がかかってしまっていたので、そのような作業を自動化できればと考えていました。

 

加えて見積フォーマットもサプライヤーさんごとにバラバラなので統一できたらと思うのですが、サプライヤーさんの事情や計算の仕方もあり、フォーマットを統一することは難しいという状況でした。

繁昌様 サプライヤーさんから集まってくる見積回答の明細の粒度がバラバラなので、それらを正確に各項目軸で比較するにはバラバラになった情報を整理する必要があります。その整理が少しでも違うと誤った判断に繋がってしまうため、作業自体の重要度が高く、長い時間をかけて整理します。

 

同じ項目軸で素早く比較を実行できることは業務効率化の観点から考えても重要ですし、業務の品質向上にもつながります。

関様 昨年、部門の方針として工場の調達部門との連携強化を目指していました。距離が離れていることもあり、工場側の調達部門の担当者に分析や情報提供をお願いすることが多かったのですが、情報の整理や共有に非常に時間がかかっていました。

 

さらに、こちら側の依頼に対して、工場側の調達担当者に手を止めて対応してもらう必要があり、工場側の業務負荷が高まっていました。

小林様 工場側では、見積回答をもらい、PDFの内容を読み解き、データ変換してから比較表を作成するのですが、そこに十分に手が回せていませんでした。

 

また、冒頭でお話した調達ポータルを作るにあたって、原価の明細をどうやって取り込むかというのも課題でした。

 

最初はすべて人の手で、コピー機を貸し切ってキングファイルから全部コピーしようとしていましたが、非常に大変でした。

関様 昨今の物価上昇などの影響で、サプライヤーさんからの値上げ交渉も増えています。

 

これまで経験したことのない環境の中で、どのようにデータを活用したり、原価低減のアイディアを出すのかというのも課題になってきていました。

 

加えて、原価変動分の販売価格への転嫁も課題でした。

 

販売価格への転嫁は、弊社の営業がOEMメーカーに対して説明をしなければならないのですが、その際に値上げの根拠となる情報を持っていく必要があります。今までは、先ほどお話ししたように、なかなか時間がない中で工場から出る情報も曖昧だったり、理由がわからないというケースもありました。

小林様 原価管理システムはどの会社にもありますが、その前段階のコストに関する情報を集約したり分析したりする部分はなかなかカバーされていません。本当はそこが一番大事だと考えているため、データの集約や分析に力を入れたいと考えていました。

―― どのような経緯でシステムを検討されたのでしょうか?

小林様 今までお話した課題をどうにか解決できないかと思って色々と調べた際に御社を見つけて、問い合わせたというのがきっかけでした。

繁昌様 御社のシステムを導入するにあたって、他社システムも2つほど検討しており、その他にも人を雇って人海戦術で行うことも候補にありました。

 

ただ、人を雇うといっても複雑な見積書を見てデータベースに転記する作業はノウハウが必要になります。そのため、結局は人を雇っても教えることになってしまい、負担が大きいです。また他社のシステムではAI-OCRによってデータ化してくれるシステムもあるのですが、フォーマットごとにチューニングが必要であったり、データベースとしては持つことはできないといった制約がありました。それを考えると、見積書をアップロードするだけでデータベース化できるUPCYCLEが一番良いと考え、導入に至りました。

調達部門の活動を見える化して攻めに転じていきたい

―― 今回、UPCYCLEは調達ポータルに見積書のデータを提供するために活用いただいております。改めて調達ポータル構想の狙いについて教えて下さい。

小林様 やはり原価集計だけではなく、サプライヤーさんの情報や契約書の管理など、今までマニュアルでやってきたところを一手にまとめていきたいと考えています。

 

手動から自動化、さらにはデータドリブンな業務を目指したいと考えています。

繁昌様 調達部門の成果が見えづらいことで、実はコストを結構下げているにも関わらず成果が社内で認知されておらず、もったいないことがあると感じています。そのため、調達ポータルによって調達の成果をしっかりと見えるようにしながら、事業により貢献していける体制に変えていきたいと思っています。

関様 どの製造業の調達部門も一緒かもしれませんが、これまではデータが無く、状況が正確に把握できていませんでした。しかし見積データの蓄積が進んだことで、調達部門のやってきたことが可視化されて成果が見えるようになってきたことで、状況が変わりつつあると感じています。これを活かして今後は攻めに転じていけるのではないかと考えています。

UPCYCLEによって、継続的な強い調達組織を目指す

―― 最後に、今後どのような調達業務を目指していくのかについて教えて下さい。

繁昌様 UPCYCLEの活用によって、まずは情報を一元化させたいと考えています。今は色々なフォルダであったり、個人持ちで管理しているので、UPCYCLEという基盤にデータを集約させて、担当者や時代が変わっても、引き継いだ人がそこに見に行けば、その時どういうRFQでどんな価格なのかというのが分かるようになる、というのがUPCYCLEに期待しているところです。

関様 私は強い調達になりたいと思っています。数字で答えられていないということが度々あったので、調達部門の成果を数字をもとにしっかりと主張できるようになりたいですね。

 

結果としてそれが経営に繋がって、正しい判断に繋がると考えているので、改めて、強い調達になっていきたいです。

小林様 やはりトランスペアレントですね。UPCYCLEの導入によって透明性が高まり、適切なコスト管理を実現することで経営に貢献できると思っています。

 

ここ数年は人材の流動性が高まっていることによって、過去のデータを確認できないということがありました。UPCYCLEを活用することにより、すべてが履歴として蓄積される状態にして、新しい人が来たとしても強い調達組織を継続していけるようにしたいと考えています。

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