【トヨタ車体株式会社様】UPCYCLEの活用を通じて提案型調達を実現し、より良いクルマ作りへのさらなる貢献を目指す

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調達部部品室のプロジェクト推進メンバーの皆様

企業について

―― 御社の事業概要について教えて下さい。

弊社はトヨタ自動車の子会社として、企画開発から生産までを担う完成車メーカーです。主な製品は、ハイエースなどの商用車、アルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシーなどの乗用ミニバン、ランドクルーザーなどの SUV です。

 

また、弊社独自の事業として、1 人乗りの電気自動車「コムス」という小型モビリティの展開も行っています。

 

また、企業スポーツ活動としてハンドボールとバレーボールのチーム運営とダカールラリーへの参戦、特装福祉車両の開発と生産、植物材料の開発等にも取り組んでいます。

調達組織について

―― 御社の調達組織と調達品目について教えて下さい。

弊社ではコーポレート本部の中に約 80 名が所属する調達部があります。調達部の中には私たちが所属する部品室のほか、車両生産用設備を扱う設備資材室など、4 つの組織があります。

 

我々が所属する部品室は自動車に使われる部品について、サプライヤーの選定や価格決定のみならず、実際に現場に入り、生産性向上に向けた工程改善活動に協業して取り組むなど、サプライヤーと共に今後どう成長していくのかといった将来戦略も考えていきます。

 

またその戦略を考える上では、コストだけでなく納期や品質も含めた、総合的なマネジメントが重要だと考えています。

 

弊社では車体の骨格に使われるプレス部品、内装部品、ワイヤーハーネス、スライドドアを動かす艤装品、ヘッドランプなどを調達しております。

中国メーカーとの競争激化への対応と適正取引の実現が求められてい

――直近で事業や調達活動の中で重視されている点について教えて下さい。

直近ですと、やはり中国系の自動車メーカーの台頭が非常に大きなインパクトとなっています。品質も、ここ数年で急速に向上しています。日本的なものづくりの価値観でいかに競争に打ち勝っていくかが問われていると考えています。

 

もう 1 つは 企業の持続的な社会的責務として「適正取引」の重要性がますます高まっており、弊社としてもサステナビリティ経営に取り組んでおります。

 

コロナ禍等の危機的な状況の実体験を経て、ものづくり基盤の重要性が改めて見直される中、持続的成長を実現するためのより一層の取り組みの強化が必要だと考えています。

アナログな情報管理では価格の背景や仕入先様との歴史がうまく引き継がれなかった

――調達業務においてどのような課題があったのでしょうか。

1 つ目の課題は、増大する業務負荷です。
トヨタ自動車ではマルチパスウェイ戦略を掲げており、ガソリン車や HEV、BEV など、各地域の事情に応じた最適なパワートレーン展開を進めています。

 

加えて、弊社が扱う商用車や特装・福祉車は多様な用途に対応する必要があるため、1 つ 1 つの種類の台数は少なくても非常に多くのバリエーションの商品を展開しています。

 

そのため、調達業務では 1 つ 1 つの取引量は少ないのですが、業務負荷が非常に大きいという課題がありました。

 

それによって、我々が困るだけでなく、先方に対しても結果的に、ご迷惑をおかけしてしまうリスクを危惧していました。

また、もう 1 点の課題はデジタル化対応への遅れです。

これまで私たちが積み重ねてきたサプライヤーとの交渉の歴史や関係性というものが、アナログな情報管理の中でうまく引き継がれていないという課題がありました。

 

次世代に伝えるべき重要な知見やノウハウが、担当者のやり方や考え方によってバラつきが生じ、一貫性が保たれていない状況でした。

 

例えば、前任のバイヤーはある特定の原価低減活動にこだわって取り組んでいたが、新しいバイヤーはその経緯や背景がよく分からず、全く違う話をしてしまうことがあります。

 

それによってサプライヤーとしても、なぜ急に方向転換するのかと戸惑わせてしまう事態を引き起こしてしまっていたのも事実だと思っています。

 

このように、価格の決定経緯やサプライヤーとのやりとりの歴史が形に残っていないことで、せっかく積み上げてきたものがリセットされてしまう点に問題意識を持っていました。

サプライヤーとのコミュニケーションツールとしての調達システムではなく、価格決定のノウハウの蓄積に特化していることがUPCYCLEの導入の決め手だった

――システム検討の経緯について教えていただけますでしょうか。

もともとはシステムを考えていたわけではなく、ノウハウを残すにはどうすれば良いかを検討する中で、最低でも Excelに残せれば良いと考えていました。

 

そうした中で豊田通商様から紹介いただいたことを機にシステムについて検討し始めました。

 

ノウハウを残すためには、必要な情報が適切にストックされ、かつ使いたい形でアウトプットできるかが重要でした。
具体的には見積書の内容が我々の想定している通りに保存され、見積書の比較や特定の情報がストレスなく抜き出せるかどうか等を主体に検証し、最終的に UPCYCLE が最も合致すると判断し、導入の判断に至りました。

 

他のベンダー様からも提案をいただいていたのですが、サプライヤー様とのコミュニケーション強化に重点を置いたシステムが多い印象の中、御社の UPCYCLE は価格決定のノウハウを蓄積したいという弊社のニーズに合致していました。

サプライヤーに負担をかけることなく、データを蓄積できることがポイントだった

サプライヤーに対して負担をかけずに済む点もポイントでした。自社システムの中にも見積内容を先方から入力してもらう仕組みがあったものの、サプライヤー様のご負担になってしまうという問題もありました。

 

また、数百社のサプライヤーと取引しているため、数多くの見積書のフォーマットがありますが、UPCYCLE はデータ化の精度が高く、サプライヤーの見積フォーマットを変更する必要も無いため、お互いに手間なく使い始めることができ、導入のハードルも低いと感じています。

より良いクルマをつくるために、UPCYCLEを活用することで提案型の調達活動をしていきたい

――最後に、今後どのような調達業務を目指していくのかについて教えて下さい。

今まで把握することが難しかった見積価格の履歴が UPCYCLEに蓄積されることで、過去のデータを踏まえたうえで、原価低減の余地・新たな切り口を見つけるきっかけになることもメリットですが、過去の価格決定の背景や、原価低減がどのような視点で進められてきたのかといった情報を把握できるようになる点が、非常に大きな価値だと感じています。

 

また、これまでは過去の見積を探すだけでも手間がかかりましたが、UPCYCLE を導入することで、経験年数に関わらず、「情報を探す」といった付加価値の少ない作業は極力なくしていき、本来時間をかけるべき付加価値の高い業務へシフトしていきたいと考えています。

調達の仕事というと「いかに安く買うか」「価格をどう決めるか」という点に注目されがちですが、それだけではなく「より良いクルマをつくるために調達として何ができるか」という視点が非常に重要だと考えています。

 

例えば、従来は、設計や開発部門が中心となって製品仕様を決めていくことが一般的でしたが、それだけでは情報が限定的となり、ベンチマーク等も不足していたケースもありました。

 

その中で外部の専門的な知見を持つサプライヤー様は非常に大きな力になりますし、彼らの力を発揮していただくことが大切だと考えています。

 

そのためには、調達部門も設計者が決めた仕様に対して「いくらになるか?」を決めるだけではなく、「こういうアイデアはどうか」「こうすればもっと良くなる」といった「提案型」のスタンスが必要だと考えています。まさに目利きとして、より良いものを適正な価格で提案できるような役割を担っていきたいと考えています。

ただ現実には、提案に至る前段階が非常に大変です。例えば今かかっている原価を把握したり、価格構成を集計したりするだけでも膨大な時間がかかってしまう、また、その分析作業の精度やスピードは個人の経験やスキルに依存することも多く、組織としての再現性が低いのも懸念していました。

 

今回 UPCYCLE を導入したことで、そうした数字情報の整理や見積もりの履歴管理が効率化され、作業にかかっていた負荷が軽減され、その結果として、調達が本来向き合うべき付加価値を生む活動、例えばサプライヤー様との中長期的な戦略立案や、新技術の採用活動といった未来志向の仕事により多くの時間を充て、もっといいクルマづくりに貢献できる組織であり続ける為の原動力となるよう期待しています。

 

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